「おれんじ」です。
最近、子供が「LINEを使いたい」と言い出しました。
周りのお友達にスマホを持っている子が増えてきて、待ち合わせなどにも使われるようになってきたからという理由です。
我が家でも子供の位置情報の把握と連絡用にスマホを持たせていましたが、『【画像で解説】維持費がほぼ無料で使える子供用みまもりスマホ作成の全工程』で説明しているとおり、通話アプリには「Skype」を利用していました。
LINEを使っていなかった理由は、LINEアプリ内では各社から提供されているフィルタリングサービスが効かないため、LINEアプリ内から有害なサイトやコンテンツにアクセスができてしまうからです。
LINEアプリの利用推奨年齢は12歳以上なので、小学生に持たせるとなると利用者側の責任で管理する必要があるのですが、お友達の輪に入れなくなり孤立していくのも可哀相なので、本気で対応をすることにしました。
使用するのはAndronid端末で、目指すは「LINEからの外部サイトや不要なコンテンツへのアクセスを制限しつつ、トークや通話機能は使えるようにする」です。
あとなるべく安価(できれば無料)で対応できるように検討した結果、最低限の要件は無料で実現できましたので説明していきますね。
アクセス制限をかけたいLINEの機能
アクセス制限が必要なLINEの機能を見ていきましょう。
LINE VOOM
LINE VOOM(ラインブーム)は、LINEアプリ内の動画プラットフォームでショート動画や写真を投稿・閲覧する機能です。
子供にとっては不適切と思える投稿も多く、画面を開いただけで一方的に再生されてしまうのでブロックする必要があります。
ニュース
世の中のことを知るうえでニュースを見るのは良いことではあるのですが、ニュースによっては子どもにあまり見せたくない内容が表示されることもあります。
またニュースの記事内から簡単に外部のサイトにアクセスできてしまいます。
例えばYahoo!ニュースの記事を開いて、記事内の検索窓に「Google」と入れて実行すればGoogleのサイトにアクセスできるのであとは自由にネットサーフィンし放題になってしまうのです。
ウォレット
ウォレットはクレジットカードやお金を管理する機能やアプリ群です。
お金に関することを学ぶのは良いことですが、機能だけを与えても意味がないのでアクセス制限したいところです。
履歴が残るのでカツアゲに使われることはないと思いますが。
Webview
Webviewとはアプリ内ブラウザのことです。
「トーク」でアクセスしたいサイトのURLをメッセージとして送るとリンクになり、Webviewから簡単に好きなサイトにアクセスできてしまいます。
トークはメイン機能として利用したいのでメッセージを制限することはできませんが、外部アクセスは制限する必要があります。
LINEの設定で最低限の機能制限
今回紹介するアクセス制限を使うのであれば不要ではあるのですが、LINEの設定機能で制限できるものは念のため制限しておきたいと思います。
[ニュース]タブを[通話]タブに変更
手始めに一番簡単な「ニュース」の対策をしておきましょう。
LINEの設定で[ニュース]タブを[通話]タブに変更することができるので、変更します。
- [ホーム]画面の歯車アイコンをタップ
- [設定]-[一般]-[通話]をタップ
- [通話/ニュースタブ表示]をタップ
- [通話]を選択してLINEを再起動
これで[ニュース]タブが[通話]タブに変更されました。
もちろん子供がこの設定を再度変更してしまえばニュースを見れるようになってしまうので、これだけでは根本の対策にはなっていませんがそこは別で対策します。
VOOMの通知を制限
子供に持たせるうえで制限したい機能No.1の「VOOM」ですが、LINEの機能から再生を制限することができません。
しかし、VOOMの通知機能をオフにすることで、VOOMからの通知を減らすことができるので設定しておきましょう。
- [ホーム]画面の歯車アイコンをタップ
- [設定]-[LINE VOOM]をタップ
- [LINE VOOM通知]をオフ
- [フォロー設定]-[フォローを許可]をオフ
- [フォロー設定]-[フォロー情報を公開]をオフ
LINEのアクセス制限の検討
本格的にLINEのアクセス制限を検討した結果、制限方法についていくつかの候補がありました。
それぞれの方法にメリット、デメリットがあり使用する環境や制限をかける範囲で最適な手段が異なってきます。
我が家では記事のタイトル通りAdGuard(無料プラン)を利用したアクセス制限を行いましたが、他の方法も軽く紹介しておきます。
外部モジュール(LIME)で不要な機能を非表示にする方法
LIMEはLINEの機能をUI上から削除できる外部モジュールです。
LINEの設定画面内に[LIME]ボタンを追加して、そこからLINEの設定を変更することができます。
- [VOOM]タブや[ウォレット]タブを完全に消すことができる
ボックステキスト-デメリット
- LINEのバージョンが指定のため、最新版のLINEアプリで利用できない
- root権限を持たないと着信音が鳴らない
端末にroot権限という最高権限を与えないと着信音が鳴らないというのが我が家の考えとは合わないので没にしました。
アクセス制限をしたいのに最高権限を与えるというのもチグハグな感じですよね。
仕向けをVoom、ウォレットサービスのない国にする方法
LINE VOOMは日本、台湾、タイ、インドネシア、香港以外の国では提供を終了しています。
そのためLINEアカウントを新規作成する際に[居住地域]をのVoom、ウォレットサービスのない国に設定すると機能自体が表示されなくなります。
- 最新版のLINEアプリを利用可能
- [VOOM]タブや[ウォレット]タブを完全に消すことができる
- 国によっては電話番号不要
- 相手のQRを読んで友達追加しても相手には通じていない
- グループの作成ができないので作ってもらう必要がある
- 地域が海外
- 理解していないと将来的に移行で問題あるかも
補足すると相手のQRを読んで友達追加すると端末上は登録されるのですが、メッセージを送っても相手には通じていません。
友達追加する際には相手にQRを読んでもらいメッセージを送ってもらう必要があります。
継続利用していないので不明確ですが、子供が大きくなってアクセス制限を解除する際に、もしかしたらデータ移行で問題あるかもしれないので我が家では没になりました。
地域を「United States」にするとGoogleアカウントでの登録となり、電話番号が不要のため簡単に複数アカウント作成することができるので動作テスト用には便利です。
AdGuardでアクセス制限する方法
広告ブロックで有名なAdGuardを使ってアクセス制限をする方法です。
検索すると有料プランでブラックリストに登録する方法ばかり見つかるのですが、無料プランでも制限自体はできます。
- 最新版のLINEアプリを利用可能
- LINEアカウント自体に細工をしていない
- 有料プランは結構なお値段
- [VOOM]タブや[ウォレット]タブを完全に消すことはできない
- ブラウザの広告ブロックとして機能しなくなる
今回はこのAdGuard(無料プラン)でアクセス制限をしていきます。
AdGuard(無料プラン)でアクセス制限する注意点
AdGuardの無料プランではブラックリストが使用できません。
無料プランでのアクセス制限には「DNSフィルタ」を利用します。
DNSフィルタとはインターネット上の「住所録」のようなもので、特定のサイトをブロックしたり、許可したりすることで、ユーザーがアクセスできるウェブサイトを管理します。
LINEアプリも様々なサイトとのやり取りをすることでサービスを提供しているのですが、DNSフィルタで特定のURLへのアクセスのみ許可してトークと通話に必要が機能以外の通信を遮断しましょうというのが今回の設定です。
デメリットで挙げた「ブラウザの広告ブロックとして機能しなくなる」というのは、DNSフィルタはアプリごとの設定ができないためです。
AdGuardのDNSフィルタや公告ブロックの設定は通信時にAdGuardを経由して通信した際に機能します。
例えばLINEの通信を遮断するためにDNSフィルタ設定すると、Chromeの通信も遮断されます。
LINEの通信を遮断してChromeの通信は通すためには、AdGuardでChromeを除外設定して、AdGuardを経由しないで通信させる必要があります。
AdGuardを経由しなくなるので公告ブロックも効かなくなるということです。
我が家ではChromeによる外部アクセスも許可していないので問題ないのですが、ブラウザによる外部アクセスを許していて公告ブロックをしたい場合はFirefoxなどのブラウザ側で公告ブロックを導入できるブラウザを導入する必要があります。
AdGuard(無料プラン)でアクセス制限
ここからはAdGuard(無料プラン)でアクセス制限の詳細設定を説明します。
すべてのドメインとの通信を遮断する
まず、端末のすべての通信をDNSフィルタでブロックするための設定をします。
AdGuardのDNSフィルタは以下のようなフォーマットで記載していきます。
||example^ 遮断するアドレス
@@||example^ 許可するアドレス
また「*」をワイルドカードとして使用することができます。
今回はすべてのドメインへのアクセスをブロックしたいので試しに以下のように設定しました。
||*^ すべてのアドレスをブロック
しかし、範囲が広すぎるためか無料プランでは設定しても動作しませんでした。
そこでトップレベルドメインを個別にブロックする設定をすることにしました。
すべてのトップレベルドメインが一覧になっているIANA(Internet Assigned Numbers Authority)からドメインをコピーしてきてテキストエディタでDNSフィルタの形式に成型して保存します。
以下のボタンから成型済みのファイルをダウンロードしてそのまま使用できるので、抵抗がなければご利用ください。
AdGuardを起動して作成したファイルをDNSフィルタとして登録します。
- AdGuardを起動する
- 盾のアイコンのタブをタップ
- [AdGuardによる保護]-[DNS通信を保護]をタップ
- [DNS通信を保護]-[DNSフィルタ]のラベルをタップ
- [DNSフィルタ]-[+DNSフィルターを追加する]をタップ
- [参照]ボタンから作成したファイルを選択
- [次へ]ボタンをタップ
- フィルタ名を任意に設定する
- [追加する]ボタンを押下する
登録したフィルタは一覧に表示されているのでトグルスイッチをONにするとAdGuardを経由した通信がすべて遮断されます。
LINEの必要な機能の通信のみ許可する
すべてのトップレベルドメインをブロックしてしまったので、このままではトークのメッセージや通話ができません。
そこでLINEの必要な機能を使うためのアドレスの許可をしていきます。
わたしなりに調べたLINEの機能と必要なアドレスの紐づけは以下のような感じで、我が家ではすべて許可しました。
アドレス | 内容 |
---|---|
mtalk.google.com | LINEが起動していないときにプッシュ通知を受信するためのFCMを許可 |
legy-jp.line-apps.com | legy-jpかlegy-backupのどちらかを許可しないとトークのメッセージがサーバに渡らない、Voomのコメントなどのボタン部分を含む |
legy-backup.line-apps.com | 同上 |
profile.line-scdn.net | 友だちのプロフィールアイコンを表示するのに必要 |
obs-jp.line-apps.com | 画像の送受信に必要、jpの部分はLINEに設定した地域によって変わる |
stickershop.line-scdn.net | 自分の所持していないスタンプを受信するのに必要、ホーム画面のおすすめスタンプのサムネイルも表示されてしまう |
参考にして、ご家庭の方針に合わせて許可するアドレスを決めてください。
ここまでの設定でLINEのトークと通話は許可して、その他の機能はブロックするということは実現できます。
AdGuardのアクセス制御からの除外
ここまでで通信を許可したドメインはLINEの機能に関するものだけなので、当然Googleファミリーリンクで位置情報も取れません。
AdGuardのフィルタリングから除外するアプリがある場合は、個別にAdGuardを経由しないようにする設定が必要です。
- AdGuardを起動する
- □とか△○が集まったアイコンのタブをタップ
- [アプリの管理]-<通信を許可したいアプリ名>をタップ
- [AdGuard経由でツー心をルーティング]トグルボタンをオフに設定
この設定を行うことで該当のアプリはDNSフィルタリングによるアクセス制御の影響を受けずにアクセスできます。
ただし、AdGuardを経由しない通信となるため、AdGuardで設定されている公告ブロックも機能しません。
Google Chromeはブラウザの拡張機能を利用した公告ブロックができないため、Firefoxなど公告ブロックの拡張機能で提供されているブラウザを利用する必要があります。
制限前にLINE使わせていてた場合
今回のアクセス制限をする前にすでにLINEを使っていた場合、制限したアドレスから取得されるデータがダウンロード済みの場合があります。
こういったデータはアクセス制限後にAndronidの設定アプリからキャッシュを削除するとキレイになくなります。
[ストレージを消去]を行ってしまうとLINEを新規インストールした状態になってしまうので、間違えないようにしてください。
- Andronidの設定アプリを起動
- [アプリ]をタップ
- [アプリ情報]-[LINE]をタップ
- [ストレージとキャッシュ]をタップ
- [キャッシュを削除]をタップ
VOOMのコメント問題
ここまでの設定でLINEからの外部アクセスやVOOMによる動画の再生は制限できました。
ところがVOOMの動画に対するコメントが表示できてしまいます。
コメントを表示するボタン周りがLINEトークでメッセージを送信するのに必須の「legy-jp.line-apps.com」「legy-backup.line-apps.com」の2つのドメインから取得されるからです。
LINEトークを利用するならば、VOOMのコメントの取得は制限することはできません。
無料プランではここまでが限界ですが、LINEの不要な機能や外部アクセスは十分防ぐことができるので、納得できるのであればここで設定完了です。
マクロを作成できるMacrodroidというアプリの有料版(買い切りで900円)を容認できるのであれば更にガッチリと制限することができますので、Macrodroidを利用したアクセス制限の説明は別の記事として作成する予定です。
おわりに
LINEはアクセス制限が難しく厄介なので、わたしの周りにはあきらめて制限をかけずに子供に渡している人もいます。
頑張って子供の端末をアクセス制限しても、お友達の端末で動画コンテンツなどを見せてもらうということは避けられないのです。
「子供が一人のときにスマホに依存しないため」くらいの気持ちでいるのが良いかもしれませんね。